大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

千葉家庭裁判所 昭和52年(少イ)5号 判決

被告人 濱田和明

朝日商事株式会社

主文

被告人濱田和明を懲役一年六月及び罰金一〇万円に、被告会社朝日商事株式会社を罰金三〇万円に、各処する。

但し被告人濱田和明に対し本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

被告人濱田和明が右罰金を完納することができないときは金二〇〇〇円を一日に換算した期間被告人濱田和明を労役場に留置する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社朝日商事株式会社(代表取締役森田共一)は、千葉市○町×番××号に本店事務所を設け、千葉県知事から特殊浴場業の許可を受けて同所において「トルコ○○」を経営している者、被告人濱田和明は、右「トルコ○○」の支配人として勤務し、同店の従業員の指揮監督及びトルコ嬢を雇い入れて同店の施設を貸与するなど同店の運営管理に関する一切の業務を担当していた者であるが、被告人濱田和明において、右被告会社の業務に関し、昭和五二年二月二六日頃から同年九月一〇日頃までの間、別表〈省略〉記載のとおり、同店のトルコ嬢として雇い入れたA子ほか六名が、Cら不特定の男客延べ合計約二六三五名から対価を受けて性交するにあたり、その情を知りながら、同女らに同店の浴室付個室を使用させるとともに、別表七の児童であるB子(昭和三五年八月三〇日生)が満一八歳に満たない者であることを知りながら、同女をして、同店の浴室付個室においてDら不特定の男客延べ約一五名を相手として売淫させ、もつて売春を行う場所を提供することを業とするとともに、一八歳に満たない右児童に淫行をさせる行為をしたものである。

(証拠の標日)(編略)

(法令の適用)

被告人濱田和明の判示所為中、売春防止法違反の点は同法第一一条第二項罰金等臨時措置法第二条第四条に、児童福祉法違反の点は同法第三四条第一項第六号第六〇条第一項罰金等臨時措置法第二条第四条に、それぞれ該当するが、右は一個の行為にして二個の罪名に触れる場合であるから、刑法第五四条第一項前段第一〇条により重い児童福祉法違反の罪の刑に従い所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期範囲内及び最高裁判所判例(昭和二九年(あ)第三五七三号同三二年二月一四日第一小法廷判決、最高裁判所刑事判例集第一一巻第二号第七一五頁)の趣旨に従い売春防止法第一一条第二項所定罰金額の範囲内で、被告人濱田和明を懲役一年六月及び罰金一〇万円に処し、被告人濱田和明に対し情状刑の執行を猶予するのを相当と認めるので刑法第二五条第一項により本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予し、被告人濱田和明に対し右罰金を完納することができないときは同法第一八条により金二〇〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置し、被告会社朝日商事株式会社の判示所為中、売春防止法違反の点は同法第一一条第二項第一四条罰金等臨時措置法第二条第四条に、児童福祉法違反の点は同法第三四条第一項第六号第六〇条第一項第四項罰金等臨時措置法第二条第四条に、それぞれ該当するが、右は一個の行為にして二個の罪名に触れる場合であるから、刑法第五四条第一項前段第一〇条により重い(罰金額の多額の)売春防止法違反の罪の刑に従い所定罰金額の範囲内で被告会社朝日商事株式会社を罰金三〇万円に処することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 松澤二郎)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例